買ってはいけない!? ポプラ社のルパン・シリーズ
2005-09-30


と言うより読んではいけない?

映画でもポプラ社のシリーズが文庫版の宣伝チラシがあった。
映画と連動した『ダ・ビンチ』9月号のルパン特集でも見開き2ページで紹介している。

南洋一郎は戦前に児童向けの勇ましい作品を発表した作家らしい。
確か丸山眞男全集のどこかで読んだ気がする。
ペンネーム「南洋一郎」は太平洋に由来するらしい。

なぜ読んではいけないか?
完訳ではないから等とは言わない。
子ども向けだからなのか、内容まで変わっているのだ。
たとえば『813』『続・813』(偕成社)という作品がある。
(ポプラ社ではまとまって『813の謎』)
原題では『アルセーヌ・ルパンの3つの犯罪』。
なぜ、このような原題なのか?

血を見るのを嫌い、盗みはしても殺しはしないルパンが、図らずとも3人の人間を殺してしまうのだ。
ポプラ社版を読んでもそれは分からない。
なぜなら、ポプラ社版ではこの3つの殺人は行われないのだ!
ルパン・ファンとしてはこの殺人は起こってほしくない。
ポプラ社のように、うまく助かれば、ホッとする。
完訳を知らない頃は、ホッとしたままだった。
だが、3人もの人を死に追いやった苦悩から、最後にはルパン自ら海に身を投げるのだ。
ルパンも殺さずにすめば、自殺しようとしないだろう。
こういう改訳は許されるのだろうか。
(だから、原作・ルブランなのか?)
というか、このような改訳本だけが大宣伝されてるのはルパン・ファンとしても悲しい。

映画の宣伝にあわせて、各社が宣伝したいのだろうが、ポプラ社のものだけが目立つ。
▼偕成社から重版されるようなので、
[URL]
偕成社さんに、心からエールを送りたいと思います。



風邪が悪化して来た。
続きはまた…。
[本]
[愛しのアルセーヌ]

コメント(全0件)
コメントをする


記事を書く
 powered by ASAHIネット